ヘルメットの使用はサバイバルゲームにおいて普通では全く役に立つ物ではありません。ただ重くて邪魔で暑いだけです。使っている今現在でもだいたいそんな感じなんです(笑)
ですが軍隊(兵隊)らしさのイメージといってやっぱりヘルメットは外せないな~と、長いこと思い続けていました。当時からフリッツは使いたかったものの、実物は重くて高価なので隊制式にするにはちょっと考え物でした。といって軽量、安価な当時のレプリカフリッツはMサイズでしかも肉薄というマイナスイメージばかりで、結局採用できずにいました。因みに自分が被ったらドングリみたいでした(笑)。
ところがある時、いつも定例会などでお世話になっているチームで、旧ドイツ軍のナチヘルを型取りして自主生産したと情報をキャッチしました! どんな風に作ったかは軍事機密?かどうかは分かりませんが「作った」という事しか知ることができませんでした。
作り方はともかく発想の転換をして「無い物は自分で作る」というヒントを得られたことはとても大きかったと思います。この事をきっかけに手持ちの実物から作ってみようと決心した次第です。
《作製方法》
製作方法は、実物のフリッツヘルメットをシリコンゴムで型取りし、キャストを流し込んで帽体を作製する、というもの。あんな大きな物が果たして型取り出来るのか、型が出来てもきれいにキャストを流し込めるのか、キャスト製ヘルメットは充分な剛性を持っているのか、等々の疑問や問題点がありましたが、初めて事ですので、とにかくチャレンジしてみました。
まず、型の作製に当たっては、一体どのくらいのシリコンゴムが必要なのか、その量を割り出す必要がありました。そこで、フリッツが入る程度の水槽を作り、そこに水とフリッツの帽体を入れて、水かさを計る事でシリコンゴムとキャストの必要量を割り出しました。その結果、シリコンゴムは約8キロ(!)必要な事が判りました。
続いて型の作製。ゴム量の割り出しに使った水槽で外枠を作り、さらにシリコンゴムの節約と型の剛性を持たせるため、デッドスペースに発泡スチロールのブロックをかませて、型取りを行いました。
いったん型が出来てから、帽体の軽量化のため内側の型を上げ底にし、帽体の縁は実物の厚みのまま、頭頂部が約5ミリ薄くなるよう加工しました。これでキャストの節約と重量の軽減に役立ちました。
型が完成のあと、いよいよキャストの流し込みを行います。キャストの色は黒。これは塗装がはげてきても余り目立たないようにする為です。ちなみに、キャストは黒でも白でも値段は変わりません。キャストの流し込みで難しいのは、とにかく量が多いため、手早く作業を行わないと、型の中で大きな空泡が出来たり、流しきらない内に硬化が始まってしまいます。キャストを流し込みつつ、型を適度に叩きながら空泡をたたき出して行きます。
硬化時間は約10分。慌てて型を外して帽体が歪んだりしないよう、硬化時間は余裕をもってとり、慎重に型を外します。
出来上がったフリッツは、外観はいうに及ばず、帽体表面の砂地まで再現されていました。あとはバリをカッターで取り除き、塗装をして完成です。
この苦労して作った型で、約15個の帽体を量産する事が出来ましたが、型の破損、シリコンゴムの劣化などで、現在は廃棄処分となっています。
バリを切り取り完成したフリッツ。ネジ穴や表面のザラザラまで見事に再現されています。もちろん、厚みは実物とまったく同じです。(横の部分だけ
《比較》
比較といっても、外見上では実物も隊内生産のフリッツもまったく同じです。カバーを付ければ見分けさえ出来なくなります。細かい違いを言えば、内装のハンモックやチンストラップを固定するネジが、マイナスネジでなくプラスネジである事です。これは実物と同じネジが国内では手に入らないためで、カバーを付ければネジは見えなくなる事から、プラスでも良いとしました。その代わり、ネジの太さ、取り付け位置は実物と同じとしました(これが後で3ポイント・チンストやナイトビジョンのマウントを取り付ける時に役立つ)
実物との大きな違いは、重量です。カバーなど完全装備で実物が1.63kgに対して、隊内生産は1.36kgと約270gほど軽くなっています。わずか270gですが、頭の上に乗せる物としては大きな違いで、実際に使ってみた感想は、「一日被っていても疲れない。軽すぎず被っている満足感がある」というものでした。
実物から型取りしただけあって、外観は実物そのもの
ネジはプラスネジを使用したものの、ネジ穴の位置は実物と同じ
《その後のモデルチェンジ》
1.基本となるフリッツに旧ウッドランドカバー
一番最初に配備されたモデルは、隊内生産のフリッツに、同じく隊内生産のサスペンションを内装に取り付け、実物の2ptチンストラップとヘッドバンドを装備。カバーは程度の良いレプリカの旧ウッドランドのカバー。擬装用のカバー・バンドは付けるかどうかで議論したが、見た目が格好いいので付ける事に決定。極力コストを下げるため、隊内生産品を増やしているのが特徴だが、古兵は帽体以外は全部実物のスペシャルモデルを使用した。
2.ヘッドバンドを幅広の物に交換
旧型のものが幅3センチに対して、新型のヘッドバンドは4センチにグレードアップ。フィット感がかなり向上する。値段も1000円程度であるので、隊内生産は行わず、実物を使用する。
3.新迷彩マーパット採用
被服が旧ウッドランドからマーパットに変更になり、これに対応してヘルメットカバーを実物のマーパットのカバーに変更。このカバーはマーパット・ウッドランドとデザートのリバーシブルとなっているほか、取付のストラップが新型のサスペンションに対応して長めになっている事と、旧ウッドランドのカバーより若干大きめに作られている。
4.SDS:3ptチンストラップに変更
アメリカ海兵隊がGENTEX製のライトウエイト・ヘルメットを採用。ぱっと見た目は従来型と同じだが、決定的に違うのはチンストラップが4ptタイプに変わった事。
これに対応して、クラフトフェルトもチンストをSDSの3ptチンストラップに変更。機能的に近代化した。旧型の2ptタイプとの機能的に違いは、首を振った時の帽体のブレが少なくなり、特に前後の安定感が向上する。見た目もGENTEXには及ばないものの、現用チックになる。�
5.一部古兵で試験的にGENTEXのヘッドバンド使用
これまで使用してきた革製のヘッドバンドを、GENTEX製に切り替える。これで見た目(外からは見えないが)がさらに近代化されたほか、フィット感も多少良くなる。�
6.ヘルメットサスペンションを幅広テープの物に変更
順番が前後してしまったが、サスペンションを新型に変更。本来なら、SDSの幅広のヘルメットバンドに更新した時に、サスペンションも変えるべきだったが、この時まで気が付かなかった。また、同時にドウナツパットも試験採用。これはサスペンションの中央部につけるドウナツ状のスポンジで、上からの衝撃から頭を保護するためのもの。フィット感向上に役立つか試験する。�
7.ナイトビジョンマウントをつける
当節の米兵のほとんどが、ナイトビジョンのマウントを付けている事から、クラフトフェルトでも出来の良いレプリカを付ける事に決定。レプリカといえども、アルミキャスト製なので質感は充分。かなり今風のフリッツに変身する。�