2001年5月6日:三郷練兵場
さる5月6日、ゴールデンウィークの最終日に、クラフトフェルト建軍以来最初の初年兵教育修了検閲が実施された。受閲したのはトップページの写真でも度々登場のS二等兵である。チビ、デブ、四十過ぎの三拍子揃った欠陥兵のチャンピオン、されど軍隊好きは若い兵隊に負けないS二等兵。その奮闘や如何に?
*検閲とは何ぞや?
検閲。正式には「初年兵教育修了検閲」というのですが、これは要するにクラフトフェルト軍人としての基本的な動作や戦技、精神について教育された事をテストする事です。クラフトフェルトに入隊した隊員は、前歴がどの様なものであれ、全員「初年兵教育」を施され、検閲に合格して初めて一等兵に進級する事になっています。言ってみれば、我が隊の一等兵というのは、クラフトフェルト軍人として最低限度必要な能力を有した隊員、という事であり、二等兵は生成途上の隊員という事でもあります。
その初年兵教育の内容ですが、簡単に述べると、敬礼や方向転換など軍人としての動作や射撃、匍匐などの戦闘動作、その他装具の組み立てや軍隊語など、我が隊で普通に行っている各種の軍隊活動に必要な動作や知識が中心です。教育期間は原則として半年間(部隊教練6回)とされてますが、雨や遠征で部隊教練が中止になる事もあれば、初年兵が仕事や私用で部活を休む事もあり、期間はその都度伸長します。ただし、なるべく入隊初年度が終わる前に検閲を受けさせる様に配慮しています。
検閲は初年兵教育の全項目が査閲され、各々の出来映えによって点数が加えられていくシステムになっています。動作に関しては、失敗しやり直す度に1点減点。速度に関しては、査閲官の評価によって査定されます。点数は百点満点で、40点以上が合格。ただし、検閲は教育が十分に施され完成したと判断された時点で行われるので(完成の域に達するまで教育期間を伸長する事もある)、おおよそが高得点を獲得します。
検閲の結果、合格すると初年兵教育修了者として、一等兵への進級のキップを手にする事が出来ます。合格の時点で、我が隊の軍装が全て揃っている者は、次回の部活で進級。未了の者は揃い次第進級します。一等兵に進級した兵には、階級章と認識票が部隊から支給されます。~徒手~
検閲開始に当たって、検閲の概要について説明する隊長タニー
初年兵教育制度始まって以来
初めての検閲とあって、少々緊張気味
受閲するS二等兵は元より緊張してるから
させる方もさせられる方もどっちも緊張してた訳だ
まずは装具の組み立てから
一見、戦闘とは何の関係も無さそうだが
装具・兵器をキチンと取り扱い
管理する事は軍人としての当然の躾である
衣袴(野戦服)の畳み方から略帽の取り扱い
編上靴の手入れに到るまで
初年兵教育では軍装の取り扱いや管理に関して
事細かに丁寧な教育が施される
続いて徒手の各種動作
不動の姿勢、休めの姿勢、方向転換など
キビキビとした軍人らしい動作が出来るかどうかが見られる
軍人らしさというのは
そうした当たり前の動作の中からにじみ出てくるものなので
これらの基本的な動作は徹底的に仕込まれる
ある意味、一般のサバゲーチームと仮想軍隊の大きな相違点である
歩調を取っての行進
日常生活では、他の人と歩調を合わせて歩く習慣がないので
やってみると難しい。しかも足を挙げて腕を振って
規則正しい行進をしなければ軍隊らしく見えないので
行進の訓練も大変である
徒手動作の最後は敬礼の動作
挙手の礼、十五度の礼、頭の礼など
敬礼は上級者および戦友に対して
軍人としての敬意を表する礼であるから
最も厳しく、かつ美しく行わなければならない
しかし、軍人らしからぬタルンだ精神の持ち主では
その様な敬礼は出来ない
~執銃~
続いて執銃間の各種動作
執銃というのは、小銃を帯びた状態の事を指すが
その銃を使った各種の動作(担え銃や捧げ銃など)が
これまた軍隊らしさを醸し出す
この写真は、基本姿勢である吊れ銃の状態。不動の姿勢を取っている
徒手動作は
吊れ銃(不動の姿勢)→立て銃→担え銃→立て銃→
十五度の礼→捧げ銃→吊れ銃
の順番で連続して行われる
それぞれの動作に決められた挙動があり
それを正しくメリハリ良く行う事が要求される
メリハリ良く、という言葉は
他にバイクの大型二輪の試験などでも耳にする事が出来る
これは判りやすく言うと、各挙動に「止め」の動作が入る
つまり確実に各挙動を行う事をさす
捧げ銃のシーン
捧げ銃は、軍人が行う敬礼の中で
もっとも敬意を表する敬礼の作法である
それだけに動作がブサイクでは格好が付かないので
仔細にわたって指導される
しかし、微塵もふらつく事なく決まった捧げ銃の敬礼ほど
格好の良いものはない
~据銃と弾倉交換~
いよいよ戦技動作の検閲である
軍隊の本分は戦闘であるから、戦闘技術が身に付いてない兵隊は
まったくの役立たずなのだ
完全軍装で隊長タニーの説明を受けるS二等兵
据銃姿勢の各動作、立射、膝射、伏射
これに発進姿勢(伏射から膝立ちの姿勢に移る)を組み合わせ
二巡連続して行う
据銃姿勢とは、銃を構え照準する事なのだが
それぞれの動作を連続して行うとなると、結構体力を使う
それでもフラフラしない様に据銃する事が大事とされる
弾倉交換は
間断ない射撃を敵に加える為に、必須の戦闘動作とされる
そもそも我が隊が通常弾倉を制式化したのは
弾倉交換の動作を戦闘に取り入れたかったからだが
これが素早く出来ないと楽しむどころの話しでなくなる
しかし、慣れてくると
視線を敵から外す事なくブラインドタッチで
交換・収納が出来る様になる
~躍進と匍匐~
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いよいよメインイベント、躍進動作と匍匐である
雨と飛び来る敵弾の中であって
非情な攻撃前進を命じられるのが軍隊である
なるべく敵の弾に当たらない様にする為には
素早く伏せたり低い姿勢で前進したりする要領を
知っておく事が肝要なのだ
しかし、これらの動作は端で見ている分には判らないが
実際にやってみるとメタクソにシンドイ動作なのである
「進メ!」の号令で全力疾走
「体が重ぉて走れまへん」などと言う泣き言は
軍隊では通用しない。トロトロ動いていては敵に撃たれる
軍隊では勝手に戦死する事は許されないのだ
「伏セ!」の号令が掛かると、空かさず地面に伏せる
仮にそこにウンコがあっても軍隊では伏せる
伏せる際には、ケガをしない様に受け身をする
しかし、自分の体を擦り剥いても
銃を壊したり汚したりしない様に注意を払う
第一匍匐は体の側面を地面に付ける匍匐の要領
低い姿勢ながら高速で移動する際に使用する
姿勢は甲、乙、丙の三種類あり、順番に低い姿勢となっていく
一般によく知られている伏せ姿勢の匍匐は、第二匍匐と称される
これは第一匍匐よりも低い姿勢で
速度よりも安全性が優先される場合に使う
腹這いだけに歩みも遅くアゴが出るが
敵の弾が飛んでくれば嫌でもやらねばならない
~射撃、その他~
検閲の最後は、兵器および軍装の部位名称あるいは制式名称の応答
我が隊では
兵器装具のすべてが旧陸軍調の言葉に置き換わっているので
それらをすべて覚えなければならない
また、受け答えの仕方も
ダラダラした普段の言葉ではなく、キチンとした軍隊口調を使う
検閲の最後は、こうした文化的な設問である
検閲開始に当たって、検閲の概要について説明する隊長タニー
初年兵教育制度始まって以来
初めての検閲とあって、少々緊張気味
受閲するS二等兵は元より緊張してるから
させる方もさせられる方もどっちも緊張してた訳だ
まずは装具の組み立てから
一見、戦闘とは何の関係も無さそうだが
装具・兵器をキチンと取り扱い
管理する事は軍人としての当然の躾である
衣袴(野戦服)の畳み方から略帽の取り扱い
編上靴の手入れに到るまで
初年兵教育では軍装の取り扱いや管理に関して
事細かに丁寧な教育が施される
続いて徒手の各種動作
不動の姿勢、休めの姿勢、方向転換など
キビキビとした軍人らしい動作が出来るかどうかが見られる
軍人らしさというのは
そうした当たり前の動作の中からにじみ出てくるものなので
これらの基本的な動作は徹底的に仕込まれる
ある意味、一般のサバゲーチームと仮想軍隊の大きな相違点である
歩調を取っての行進
日常生活では、他の人と歩調を合わせて歩く習慣がないので
やってみると難しい。しかも足を挙げて腕を振って
規則正しい行進をしなければ軍隊らしく見えないので
行進の訓練も大変である
徒手動作の最後は敬礼の動作
挙手の礼、十五度の礼、頭の礼など
敬礼は上級者および戦友に対して
軍人としての敬意を表する礼であるから
最も厳しく、かつ美しく行わなければならない
しかし、軍人らしからぬタルンだ精神の持ち主では
その様な敬礼は出来ない
~執銃~
続いて執銃間の各種動作
執銃というのは、小銃を帯びた状態の事を指すが
その銃を使った各種の動作(担え銃や捧げ銃など)が
これまた軍隊らしさを醸し出す
この写真は、基本姿勢である吊れ銃の状態。不動の姿勢を取っている
徒手動作は
吊れ銃(不動の姿勢)→立て銃→担え銃→立て銃→
十五度の礼→捧げ銃→吊れ銃
の順番で連続して行われる
それぞれの動作に決められた挙動があり
それを正しくメリハリ良く行う事が要求される
メリハリ良く、という言葉は
他にバイクの大型二輪の試験などでも耳にする事が出来る
これは判りやすく言うと、各挙動に「止め」の動作が入る
つまり確実に各挙動を行う事をさす
言い換えれば、それぞれの挙動が正しく行われいても
「止め」がなくツラツラと動作してしまうと
何か手を抜いた様な動作に見えるし
場合によってはヌルヌルとした気持ちの悪い動作に見える事がある
要は見せ方の問題なのであるが
徒手にしても執銃にしても、これらの動作は
「軍隊らしさ」を醸し出す為のものであるから
重要不可欠な事柄である。
「止め」がなくツラツラと動作してしまうと
何か手を抜いた様な動作に見えるし
場合によってはヌルヌルとした気持ちの悪い動作に見える事がある
要は見せ方の問題なのであるが
徒手にしても執銃にしても、これらの動作は
「軍隊らしさ」を醸し出す為のものであるから
重要不可欠な事柄である。
しかしそれ以上に
メリハリのあるキビキビとした動作が出来る様になると
ただそれだけで軍人らしく見える様になり、格好良くなる
メリハリのあるキビキビとした動作が出来る様になると
ただそれだけで軍人らしく見える様になり、格好良くなる
捧げ銃のシーン
捧げ銃は、軍人が行う敬礼の中で
もっとも敬意を表する敬礼の作法である
それだけに動作がブサイクでは格好が付かないので
仔細にわたって指導される
しかし、微塵もふらつく事なく決まった捧げ銃の敬礼ほど
格好の良いものはない
~据銃と弾倉交換~
いよいよ戦技動作の検閲である
軍隊の本分は戦闘であるから、戦闘技術が身に付いてない兵隊は
まったくの役立たずなのだ
完全軍装で隊長タニーの説明を受けるS二等兵
据銃姿勢の各動作、立射、膝射、伏射
これに発進姿勢(伏射から膝立ちの姿勢に移る)を組み合わせ
二巡連続して行う
据銃姿勢とは、銃を構え照準する事なのだが
それぞれの動作を連続して行うとなると、結構体力を使う
それでもフラフラしない様に据銃する事が大事とされる
弾倉交換は
間断ない射撃を敵に加える為に、必須の戦闘動作とされる
そもそも我が隊が通常弾倉を制式化したのは
弾倉交換の動作を戦闘に取り入れたかったからだが
これが素早く出来ないと楽しむどころの話しでなくなる
しかし、慣れてくると
視線を敵から外す事なくブラインドタッチで
交換・収納が出来る様になる
~躍進と匍匐~
; width="400" height="300" />
いよいよメインイベント、躍進動作と匍匐である
雨と飛び来る敵弾の中であって
非情な攻撃前進を命じられるのが軍隊である
なるべく敵の弾に当たらない様にする為には
素早く伏せたり低い姿勢で前進したりする要領を
知っておく事が肝要なのだ
しかし、これらの動作は端で見ている分には判らないが
実際にやってみるとメタクソにシンドイ動作なのである
「進メ!」の号令で全力疾走
「体が重ぉて走れまへん」などと言う泣き言は
軍隊では通用しない。トロトロ動いていては敵に撃たれる
軍隊では勝手に戦死する事は許されないのだ
「伏セ!」の号令が掛かると、空かさず地面に伏せる
仮にそこにウンコがあっても軍隊では伏せる
伏せる際には、ケガをしない様に受け身をする
しかし、自分の体を擦り剥いても
銃を壊したり汚したりしない様に注意を払う
第一匍匐は体の側面を地面に付ける匍匐の要領
低い姿勢ながら高速で移動する際に使用する
姿勢は甲、乙、丙の三種類あり、順番に低い姿勢となっていく
一般によく知られている伏せ姿勢の匍匐は、第二匍匐と称される
これは第一匍匐よりも低い姿勢で
速度よりも安全性が優先される場合に使う
腹這いだけに歩みも遅くアゴが出るが
敵の弾が飛んでくれば嫌でもやらねばならない
~射撃、その他~
この後、射撃の検閲が行われた。躍進、匍匐と激しい動作をした後に、射撃という冷静さを要求される項目が設けられているのは、実際の戦闘では機動と射撃が交互にあり、どれほど動悸してても正確な射撃を行わねばならない。それを再現する為である。射撃の検閲は、三点射(連射で3発撃ったら射撃を止める)と十点射(我が隊では連射は10発で一旦止める事となっている)、そして偏差射撃(風力や距離によって照準を変え、標的に命中させる射撃の仕方)が検閲される。今回の検閲でも、もちろんこれを行ったのだが、どういう訳かそのシーンの映像がなく、画像は割愛した。
検閲の最後は、兵器および軍装の部位名称あるいは制式名称の応答
我が隊では
兵器装具のすべてが旧陸軍調の言葉に置き換わっているので
それらをすべて覚えなければならない
また、受け答えの仕方も
ダラダラした普段の言葉ではなく、キチンとした軍隊口調を使う
検閲の最後は、こうした文化的な設問である
*総括
S二等兵はご覧の通りの体型、その体型に見合った体力、運動神経しか持ち合わせていない。その為、教育期間は教える方も滅法苦労させられました。腕が短い、腹が出てる、挙げ句、目が悪くて敵が見えない、などなど。しかし、「好きこそものの何とか」でしょうか、S二等兵は我が隊の教練に耐え、立派に検閲を合格した。やる気というのはスゴイものである。別に軍隊に限らず、野球でもサッカーでもそうでしょうが、やっぱり基本となる型、というものは存在するもので、それは反復して練習する事で上達し、それが実戦に役に立ってくる。我が隊の初年兵教育および検閲は、それを制度として確立したものし、階級制度はそうした技能レベル(と年次も含むが)と連動している。どうせ何かやるなら、身に付くものがあっても良いと思うのです。